増刊号 診断基準とその使い方
VIII.膠原病・免疫・アレルギー
7.Behçet病
橋本 喬史
1
,
本間 信
1
1帝京大学医学部・第2内科
pp.2098-2100
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222011
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■診断基準(表1)
■疾患概念と疫学
Behcet病は,滲出傾向の強い急性炎症を反復しつつ遷延性経過をとる.1937年にH. Behçetにより口腔粘膜,眼,外陰部の再発性潰瘍を主徴とした1疾患単位をなすものとして報告され,眼病変については最初は上強膜炎や角膜潰瘍が重視されたが,そののち前部および後部ぶどう膜炎が本質的なものであることに修正された.その後の臨床観察例の増加に伴い,Behcet病の病変は口腔粘膜,眼,外陰部にとどまらず,皮膚,関節,副睾丸,消化管,血管,中枢神経,肺,腎などをも侵す全身病であることが判明し,失明率の高さや少なからざる致死例の存在から,多大な社会的関心が寄せられるようになった.
Behçet病の病因については,遺伝的素因の解明が進み,HLA-B51の保有率が高いことが明らかとなった.しかし,家族内発生は2%前後にすぎず,遺伝的素因に何らかの環境因子の影響が加わることにより発病するものと考えられている.環境因子としては,ウイルス感染や微量化学物質の影響についての多くの研究がなされてきたが,確証が得られず,現在わが国では細菌とくに連鎖球菌の感染を重視した研究が進められている.
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