特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
3.自己免疫疾患と検査
8)Behçet病
橋本 喬史
1
Takashi HASHIMOTO
1
1帝京大学医学部第二内科
pp.285-287
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900882
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■病態生理
1)病像
Behçet病は口腔粘膜のアフタ性潰瘍,外陰部潰瘍,皮膚症状(結節性紅斑,毛嚢炎様皮疹,皮下の血栓性静脈炎),および眼のぶどう膜炎を主な症状とし,ほかにも関節,血管系,中枢神経系,消化管,副睾丸,肺,腎臓などの病変による症状もみられる全身病であり,滲出傾向の強い炎症発作をくり返しつつ遷延性経過をとる.わが国では12,000~15,000人と世界で最も多い患者の存在が推定されていることに加えて,眼病変による失明率の高さや,中枢神経・血管・腸管の病変による死亡が少なからずみられることから,難病を代表する疾患として多大な社会的関心が寄せられてきた.
Behçet病の臨床病理学的特徴としては,好中球をはじめとする顆粒球と血小板の機能亢進があげられている1).好中球機能亢進については,遊走能,貧食能,活性酸素産生能,ライソゾーム酵素放出能,細胞障害性の亢進が知られており,病変部位に多数の好中球が浸潤し,活性酸素やライソゾーム酵素を大量に産生,放出することにより病変形成をもたらすと考えられている.Behçet病における好中球機能亢進の成因は長い間不明であったが,最近では単核球から放出されるサイトカインによることを示す研究報告があいついでなされ,遅延型アレルギーの関与が示唆されている2).
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