増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
1.再生不良性貧血
高久 史麿
1
1東京大学医学部・第3内科
pp.2002-2003
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221980
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■再生不良性貧血とは
再生不良性貧血は骨髄中における血球の産生が全体的に低下した状態である.そのため骨髄の低形成と末梢血での汎血球減少を血液学的な特徴としている.骨髄の低形成が赤血球,顆粒球,巨核球-血小板の3系統の血球のいずれにおいても認められることから,再生不良性貧血はこれらの血球の母細胞,すなわち未分化な造血幹細胞の異常であると考えられている.造血幹細胞に異常をもたらす原因として,各種の薬品・薬剤が挙げられている(2次性再生不良性貧血)が,臨床的に因果関係を証明することは困難である.わが国では大部分(70〜80%)の再生不良性貧血は原因の分からない本態性の型に属しているが,その中の一部の症例で免疫学的な機序による造血幹細胞の抑制がinvitroの培養系ならびに臨床的な観察によって証明されている.
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