増刊号 診断基準とその使い方
V.内分泌
8.Empty Sella症候群
寺本 明
1
1東京警察病院・脳神経外科
pp.1889
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221932
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■Empty sella症候群の診断基準(案)(表参照)
■疾患概念と疫学
表に述べたごとくempty sellaはprimaryとse-condaryに大きく分けられる.前者は,先天的に下垂体隔膜が欠損ないし不完全であるためくも膜下腔がトルコ鞍内に陥入し,憩室状に拡大したものである.後者は,下垂体腺腫などの治療後に視神経や視交叉が拡大し空虚化したトルコ鞍内に落ち込み症状を呈する場合である.画像診断が発達する以前,腫瘍の短期再発と考え手術を行ってみると,トルコ鞍は空洞状態であったことに因む.
Primary empty sellaは中年女性に多く,とくに経産婦に頻度が高い.典型的なものは比較的まれであるが,後述するごとくCTスキャンの普及後軽度な本症はごく日常的に診断される.
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