今月の主題 老人診療のポイント
治療および処置上の注意点
せん妄状態
石野 博志
1
1島根医科大学・精神科
pp.1342-1343
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221787
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老人は心肺不全,呼吸器の感染症などにかかり易く,とくに血流量が減少している老人の脳は容易に低酸素症に陥り,脳代謝に変化を来してせん妄を起こす.また脳疾患,身体疾患,中毒,薬物中断なども脳代謝に一過性の変化を来し,せん妄を生ずる.したがって高齢者の脳は,どこであれ身体に起こった機能障害の敏感なindicatorである.
せん妄の頻度は加齢と共に増加し,一般病院では老人患者の14〜30%にみられるといわれる.そのためせん妄を正しく診断し,適切な処置を行うことは,一般病院の各科,老人専門病院,痴呆専門病院の医師にとってきわめて重要なことである.
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