神経疾患診療メモ
糖尿病と神経障害
西平 竹夫
1
1沖縄県立中部病院・内科(神経内科)
pp.1276
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221771
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私の外来には,脳血管障害の患者さんが多数いる.その中に糖尿病(DM)を合併している症例もかなりあり,DMと神経障害は私にとって関心事の1つである.20年以上も前の学生時代,勝木教授の臨床講義で,「DMは治せないが,コントロールすべき疾患である」と教わった.糖尿病専門医でない私にとって,最近の学問的最先端のことはよく知らないが,幸いにも治療の基本姿勢は,①食事療法と運動療法による体重のコントロール,②内服療法,③インスリン療法と,外来という治療の現場では,20年前と比べてあまり変わってないという実感である.しかし最先端をいく専門家は,この20年間の新しい発見を教示しておおいに変わったと言うであろう.
現在,DMを合併した神経障害で外来通院をしている患者さんを思いつくままに挙げてみると,1)脳血栓症(ときに脳出血),2)多発性末梢神経炎,3)単神経炎,4)圧迫による神経障害(手根管症候群,尺骨神経障害),5)脳神経障害(顔面神経麻痺,動眼神経障害),6)失明,などがあり,たまたま(あるいは有意の因果関係で),DMを合併した症例として,①DMによる宋梢神経炎にchronic demyelinating neuropathy(steroid res-ponsive),②多発性筋炎+DM,③原田氏病+DM,④甲状腺眼筋障害(dysthyroid ophthalmopathy)+DM,⑤脊髄小脳変性症+DM,⑥強直性筋ジストロフィー症+DM,などがある.
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