今月の主題 肝炎への新しいアプローチ
慢性肝炎へのアプローチ
慢性肝炎と代謝性肝疾患との鑑別
松嶋 喬
1
1北海道大学医学部・第3内科
pp.842-844
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221675
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わが国の慢性肝炎は,一部自己免疫性のものを除くと,ほとんが肝炎ウイルスの持続感染に起因している.一方,代謝異常によって進展する肝障害,例えば銅の蓄積するウィルソン病,鉄の沈着するヘモクロマトーシスなどは,ともに経過とともに肝障害は進展するが,肝硬変へ進展するまでは肝疾患としての自他覚的所見は乏しい.しかし,これらの疾患では,肝障害と同時に他臓器の病変も合併する.先天性代謝異常による脂質,ムコ多糖の蓄積症は稀な疾患であり,一方,肥満,アルコール過剰摂取に起因する脂肪肝は,日常しばしば遭遇する病態で慢性肝炎との鑑別が困難なこともある.
本稿では,慢性肝炎とこれら代謝異常による肝障害との非観血的手段による鑑別診断について述べてみることにしたい.
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