増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
15.慢性肝炎および肝硬変
須永 雅彦
1
,
野村 文夫
2
1千葉大学医学部附属病院検査部
2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学
pp.1043-1047
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101569
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包括医療では,医療費の削減のため,疾患に対して支払われる金額が定額化される.したがって入院期間は短縮し,高価で必要がない検査は削られるであろう.その一方で病院評価によるランク付けが制度化されつつあり,医療内容の質の低下は許されない.したがって検査項目の再評価によって診療に貢献しない検査項目は大幅に減少するであろう.いかに診療に役立つ検査を,効率よく行うかが求められる時代になりつつある.
留意点を挙げると,①検査,画像診断は,自覚症状,他覚所見から必要項目を選んで,段階を踏んで,必要最小限の回数で実施する,②結果が治療に反映されない検査は,研究的,健康診断的とみなされ保険請求は認められないので注意する,③算定条件(対象,回数,診療録の記載など)が規定されている検査には,実施に際し注意する,などである.特に診療および他の検査から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者以外に対しての腫瘍マーカー検査が実施されているケースがあり,要注意である.
本稿では慢性肝炎,肝硬変の診断治療のために必要最小限な検査について考案してみる.
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