今月の主題 肝炎への新しいアプローチ
肝炎の診断
臨床症状から—ウイルス性肝炎を中心に
戸田 剛太郎
1
1東京大学医学部・第1内科
pp.778-781
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221656
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現在,臨床症状のみで急性肝炎の診断がなされることはほとんどないといってよいであろう.しかし,臨床症状は確定診断に至るための最初のきっかけをつくるものであり,この意味で一般日常診療のうえで重要な意味を持つといえる.本稿では主に急性ウイルス肝炎の臨床症状について述べる.
急性肝炎の初発症状として倦怠感,食欲不振などの重要性は従来より指摘されているところである.しかし,"肝炎らしくない"症状も時にみられる.すなわち,急性肝炎における皮膚症状,関節炎,関節痛(serum sickness-like syndrome),あるいは合併症としての再生不良性貧血,また慢性B型肝炎ウイルス感染における結節性動脈炎,リウマチ性筋肉痛,膜性腎症,本態性混合クリオグロブリン血症である.これらは肝外症候(extrahepatic manifestation)と呼ばれる.
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