今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望
さまざまな病態
ウイルス肝炎の慢性化
戸田 剛太郎
1
,
池田 有成
1
,
岡 博
1
1東京大学医学部・第1内科
pp.1012-1015
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219787
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現在,肝炎ウイルスにはA型,B型,非A非B型,D型(δ因子)がある.このうち,非A非B型はウイルスの分離がなされていず,その本態も不明である.また,A型肝炎ウイルスについては持続性感染の成立は知られていない.
ウイルス肝炎が慢性化するかどうかは,ウイルスと宿主の相互作用によって決定されるが,慢性化については現在2つの考え方がある.1つは,慢性化の背景にはウイルス持続感染が存在するという考え方である.もう1つは,ウイルス感染をきっかけとして肝細胞を標的とする自己免疫反応が成立し,持続性の肝細胞障害が起きるとする考え方である.後者の考え方によればウイルスは単にきっかけを与えるに過ぎず,持続感染の必要はない.
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