今月の主題 消化性潰瘍とその周辺
トピックス
胃粘膜微小循環障害から見たfree radicalsの役割
土屋 雅春
1
1慶応義塾大学医学部・内科
pp.498-500
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221594
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Free radicalとは原子や分子の周りにある電子に,ペアをなさないいわゆる不対電子を持つ原子あるいは分子と定義される.この中で電子受容体として酸素がかかわる反応性の高い分子を活性酸素と称し,superoxide,hydroxyl radical,過酸化水素,一重項酸素の4種が含まれる.生物は進化の過程で酸素を有効に利用し,活性酸素の障害から生体を防御する仕組みを獲得してきた.ところがいったん虚血や低酸素といった侵襲が加わると,急激な活性酸素産生とその消去系の破錠が生じ,その酸化作用による組織障害(oxidative stress)を引き起こすことが明らかになって来た.本稿では胃粘膜障害における活性酸素の関与について胃粘膜微小循環との関連で述べてゆく.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.