今月の主題 消化性潰瘍とその周辺
消化性潰瘍の治療
治癒速度論による薬効評価
笠野 哲夫
1
,
吉田 行雄
1
,
広瀬 完夫
1
,
木平 健
1
,
鈴木 勉
1
,
木村 健
1
1自治医科大学・消化器内科
pp.455-457
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221578
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抗潰瘍薬の従来の薬効評価の判定基準は,しかるべき投与期間での累積治癒率を見るというきわめて単純なものである.この方法は,ある一点の時間的な断面での統計的数値に過ぎず,その時点に至るまでの過程の評価は,一切行われていないのである.したがって潰瘍の治癒過程の経時的評価には,治癒率を時系列的に,dynamicに解析することが望ましいのである.
今,累積治癒率を時間の関数として表示できれば,全過程を通じての治癒の時間的変化を表す適切なパラメーターを求めることが可能となる.しかもこのパラメーターは,各々治癒速度を意味するものであり,この操作により薬剤をはじめとする多くの治癒を規制する因子の数量的解析が可能となると考えられる.そこで,従来までのstaticな方法に代わり,潰瘍の治癒過程を時系列的に,dynamicに評価する方法として,潰瘍の治癒速度の統計学的解析を試みた.
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