今月の主題 消化性潰瘍とその周辺
上部消化管出血へのアプローチ
内視鏡的止血法
浅木 茂
1
1東北大学医学部・第3内科
pp.418-419
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221567
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吐血や下血を示す消化管出血の約80%程度は上部消化管由来の出血である.消化管出血のなかでも大出血を繰り返したり,出血性ショックを伴うような大出血は,ほとんどが上部消化管由来である.上部消化管出血を示した症例が個々にその後どのような経過をたどるかは予測が困難である.その予後を大きく左右する因子として,患者の栄養状態(貧血や低蛋白血症)や合併する基礎疾患の重症度,出血状態,出血血管の太さなどがあり,これらの各因子に大きな影響を与えるものに,受診までの時期があり,さらにいかに対応するか,などがある.
したがって,吐血や下血に遭遇したら直ちに出血病変および出血状態の診断と内視鏡的止血を目的とした治療的緊急内視鏡検査を行い,内視鏡的止血の適応外と判断される出血には薬物療法や外科手術を行うことが大切である.
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