今月の主題 消化性潰瘍とその周辺
上部消化管出血へのアプローチ
薬物療法
黒川 きみえ
1
,
光永 篤
1
1東京女子医科大学・消化器内科
pp.416-417
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221566
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消化管出血では吐血,下血といったかなり劇的な症状があり,ショック症状で緊急対応を迫られることも稀ではない.この消化管出血のうち,上部消化管出血は70%を占め,このうち50〜60%が消化性潰瘍出血である.その出血源の早期診断は直視下内視鏡診断が行われるが,この潰瘍出血に対し内視鏡下止血手技が一般的に行われるようになったのは昭和50年以降である.
しかしそれでも潰瘍出血は外科手術適応とされるものが少なくなかった.消化管出血の治療には高周波電流による焼灼止血や,アルコール局注法など内視鏡的に種々の方法の開発があったが,一方で新しい潰瘍治療薬の開発があり,これが潰瘍出血が内科治療適応として考えられるようになるのに大いに寄与した.わが国では昭和56,7年以降であろう.
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