今月の主題 炎症性肺疾患へのアプローチ
診断のポイントと治療
免疫異常による疾患
リウマチ性肺炎
多田 慎也
1
1岡山大学医学部・第2内科
pp.262-264
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221531
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慢性関節リウマチ(以下RA)は主として関節の進行性破壊病変を主徴とする膠原病であり,免疫異常に基づく病態が考えられているが,その原因は依然として不明である.本症は全身病であり,多臓器病変の合併が知られている.このRAにおける肺病変としては,1)胸膜炎,2)肺線維症あるいは間質性肺炎,3)Caplan症候群,4)血管炎・肺高血圧症,5)閉塞性細気管支炎の5型に分類される.
本稿で述べるリウマチ性肺炎は肺線維症あるいは間質性肺炎に分類される病態であり,胸膜病変に次いで頻度の高いRAにおける肺病変である.これまでのRAにおける肺線維症・問質性肺炎に関する報告はEllman & Ball1)に始まり,多数のRA症例における検討がなされている.しかしその内容は1%〜5%と低率の合併から,32%〜60%と高率の報告まで広がりがある2).これは間質性肺病変に関する胸部X線上の変化を把握する評価基準の差にあると思われる.一方で,男性に多い,喫煙歴と相関を認めるなど,加齢による影響もふくめて,RAにおける肺線維症あるいは間質性肺炎を診断する際に慎重に考慮する必要がある.
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