今月の主題 白血病とリンパ腫
合併症の治療
骨髄抑制出血傾向への対策
椿 和央
1
1近畿大学医学部・第3内科
pp.94-95
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221489
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,白血病,悪性リンパ腫に対する治療成績は著しく向上しているが,これには抗腫瘍剤の新しい開発だけでなく,出血および感染症に対する補助療法も大きく貢献している.
全国造血器腫瘍登録調査報告によると,1972年から1977年の間に出血が原因で死亡したのは急性白血病で800/2,330例(34.3%)であり,とくに前骨髄球性白血病では,播種性血管内凝固症候群(DIC)の合併のための死亡が約60%にも達している.致死的な出血は,頭蓋内,消化管,肺の順で多い.しかし最近の白血病では,死因としての出血死は確実に減少している.この理由は,強力な抗腫瘍剤投与による強い骨髄抑制のため,顆粒球系細胞の減少に起因する感染症死が相対的に増加したことと,血小板輸血が普及して出血に対処することができるようになったことであろう.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.