今月の主題 臨床医のためのわかりやすい免疫学
免疫疾患の臨床
原発性胆汁性肝硬変
堺 隆弘
1
1佐賀医科大学・内科
pp.2062-2066
発行日 1992年11月10日
Published Date 1992/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901868
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ポイント
1)原発性胆汁性肝硬変(primary biliarycirrhosis:PBC)は自己免疫性胆管炎と考えられる疾患である.
2)中年女性に好発し,アルカリフォスファターゼ(ALP)を主とする胆道系酵素の著明な上昇,高コレステロール血症,皮膚掻痒に始まり,IgMの上昇,抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial anti-body:AMA)陽性によって診断される.最近ではAMAに対応するミトコンドリア抗原が解明され,pyruvate dehydrogenase complex(PDH),あるいはbranched chain 2-oxo-acid dehydrogenase complex(BCODH)などを用いてより特異的な診断がなされつつある.
3)胆汁うっ滞が進行して肝硬変が悪化すれば予後不良であり,肝移植以外に治療法はないが,初期にはウルソデオキシコール酸(UDCA)による治療によりある程度の効果が期待できる.
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