今月の主題 肝・胆・膵疾患の画像診断
各検査法の進歩と限界
肝画像診断のすべて
単純X線写真に含まれる情報
岩田 美郎
1
,
栗林 幸夫
1
1東海大学医学部・放射線科
pp.1144-1148
発行日 1987年7月10日
Published Date 1987/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221002
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肝画像診断において単純写真の占める役割は,現在,従来ほど大きなものではない.超音波検査やCTなど侵襲が少なく,なおかつ疾患に対して特異的な情報を得ることのできる手技が長足の進歩を遂げたからである.しかしながら,画像診断における単純写真の重要性が低下したわけではなく,スクリーニング検査として全体を観察し,鑑別診断を掲げ,個別へと向かう各種画像診断の入口に位置する単純写真の意味は不変である.実際の日常診療においては,単純写真に所見がないということがほとんどであるが,これは疾病の診断においては欠くことのできない重要な第一歩なのである.また,時に単純写真は,ガス像や石灰化など,その疾患に特異的な情報を提供することがある.これは,他の検査による代用の難しい,単純写真固有の分野である.
以下,正常肝単純写真,とくに隣接臓器との関係と肝の大きさの評価,さらに病的過程としての肝内ガス像と石灰化に焦点を絞って述べる.
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