今月の主題 炎症性腸疾患とその周辺—診断と治療
診断
Aphthoid ulcerとその鑑別診断
多田 正大
1
1京都第一赤十字病院・第2内科
pp.246-247
発行日 1987年2月10日
Published Date 1987/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220807
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Aphthoid ulcerの病理学的側面
Aphthoid ulcerとは日本語に訳すとアフタ様潰瘍とでも呼称するべきであろうか.と言うよりもCrohn病の初期像の代名詞としてaphthoidulcerの言葉で十分に通用する.口腔内アフタによく似た形態であることからこのような呼称がなされている.その病態は腸粘膜のリンパ濾胞の過形成の上に生じた小ビランである(図1).潰瘍の周辺には幅1mm程度の大きさの紅暈を伴う,ドーナツ型の形態を呈する(図2).浮腫による僅かな盛り上がりの中心部の粘膜に欠損が生じた小病変であり,1つのaphthoid ulcerの大きさはpinpointのものから直径4〜5mmのものまでさまざまであるが,いずれにせよ極めて小さな病変である.したがってX線的にこれらの小病変を描出することは必ずしも容易ではないであろうが(図3),内視鏡検査では色調の差として紅暈を伴う小病変を識別することは難しくはない.
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