講座 図解病態のしくみ 内分泌代謝疾患・10
副甲状腺機能低下症
斎藤 寿一
1
,
葛谷 健
1
1自治医科大学・内分泌代謝科
pp.1794-1800
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220587
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副甲状腺機能低下症は,副甲状腺より分泌される副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌低下や,腎における作用の低下の結果として低カルシウム血症をきたした病態であって,原因別には,表1のように分類することができる.すなわち,副甲状腺組織の欠落または破壊である手術や腫瘍浸潤,これらの原因が明らかでない特発性副甲状腺機能低下症(IHP)においては,血中PTH濃度の著しい低下をきたし,これに続発するカルシウム代謝障害が発来する.また,副甲状腺は器質的に正常でありながらPTH分泌が抑制される病因として低Mg血症があり,低カルシウム血症が認められる.これに対し,偽性副甲状腺機能低下症(PHP)1型およびII型では,腎のPTH感受性が低下し,また約半数の症例では低身長,円顔または中手骨短縮などの身体的特徴がある.血中PTHの低下はなく,むしろ上昇が認められる.
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