臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
V.内分泌疾患
特発性副甲状腺機能低下症 VS 偽性副甲状腺機能低下症
折茂 肇
1
,
佐藤 靖史
1
1東京都養育院付属病院・内分泌科
pp.1968-1969
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216835
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なぜ鑑別が問題となるか
副甲状腺機能低下症とは副甲状腺ホルモン(PTH)の作用が低下または欠如した状態をいい,臨床的には低Ca血症によるテタニー症状が有名であるが,病態の上からはPTHが不足している場合と,PTHは十分に存在するが,標的臓器のPTHに対する感受性が欠如している場合とが区別される1).
特発性副甲状腺機能低下症(以下IHPと略す)と偽性副甲状腺機能低下症(以下PHPと略す)は,いずれも稀な疾患であるが,病態の上から鑑別が必要である.すなわちIHPとは不明の原因によりPTHの不足をきたしたものであり,多くは散発例であるが,家族内発生も知られている.また自己免疫疾患と考えられる例もある.一方,PHPとは,PTHは十分に存在するが,標的臓器の感受性が欠如しているものであり,家族内発生が多く,性染色体性優性遺伝を示すと考えられている.
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