今月の主題 感染症の動向と抗生物質
治療の進歩
アシクロビルの使い方
中澤 眞平
1
1国立埼玉病院・小児科
pp.1724-1727
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220576
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アシクロビル〔9-(2-hydroxyethoxymethyl)guanine〕(Acyclovir,ACV,ゾビラックスR)は,デオキシリボースの位置に非環状の側鎖をもったデオキシグアノシン類似体である(図).本薬剤は単純ヘルペスウイルス1型,2型(Herpes simplexvirus,HSV-1,2),水痘帯状庖疹ウイルス(Varicella zoster virus,VZV)に対して強い増殖抑制効果を示し,免疫不全状態のある患者に合併したこれらのウイルスの重症感染に有効な薬剤として最近注目されている1〜5).
アシクロビル(以下ACVと略す)はHSV,VZV感染細胞のウイルス特異的チミジンキナーゼによりリン酸化(ACV-1リン酸)され,さらに感染細胞由来グアニル酸キナーゼなどの酵素により急速に3リン酸(ACV-3リン酸)まで酸化される.このACV-3リン酸はデオキシグアノシン3-リン酸と拮抗し,ウイルスDNAポリメラーゼによりウイルス核酸に取り込まれ,不完全な核酸となりウイルスの増殖を阻害する.ウイルス非感染細胞ではチミジンキナーゼの基質特異性が異なり,ACVはリン酸化されないため,正常細胞の核酸合成には影響をあたえない.
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