今月の主題 感染症の動向と抗生物質
院内感染のマネージメント
肺炎
本田 一陽
1
1東北大学医学部付属病院検査部
pp.1668-1669
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220557
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院内肺炎の診断基準
1)院内肺炎の予想診断 院内肺炎は在宅感染と比較した場合,すでに基礎疾患を有するために免疫能,呼吸器,循環器機能をはじめとする生体防御機能が低下している患者が,病院という閉鎖的環境下における診療行為を介してさらに易感染状態が促進されて発症することに特徴づけられる.したがって院内肺炎については,その発症背景の把握が,起炎菌を含む予想診断,治療のみならず予防上重要である.
2)院内肺炎のリスクファクター 院内肺炎のリスクファクターとしては,以下の項目が挙げられる.
①気管支鏡検査,気管チューブ挿入,気管切開,気管麻酔など:気道浄化能の低下が誘因となり,口腔,咽頭内常在菌や環境生息菌が落下し肺炎が発症する.
②放射線治療,化学療法,免疫抑制剤,抗癌剤など:宿主への免疫抑制作用のために,肺炎のみならず全身感染症が発症しやすい.
③中心静脈栄養,尿カテーテルなど:敗血症性血栓静脈炎の存在下にみられる呼吸器系感染症の誘因となる.
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