今月の主題 水電解質と酸塩基平衡
臨床の話題
副甲状腺機能低下症のビタミンDによる治療
山本 通子
1
1東京大学保健センター・同医学部第4内科
pp.876-877
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220372
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副甲状腺機能低下症の治療の原理
副甲状腺機能低下症の治療目的は,低カルシウム(Ca)血症に起因する症状・徴候を消失させCa代謝を正常化することであり,低Ca血症の是正が具体的な治療目標となる.本症の低Ca血症の原因は,副甲状腺ホルモン(PTH)作用不全とこれに起因する1,25水酸化ビタミンD(1,25(OH)2D)作用不全なので(図1),本症における代謝異常を完全に是正するためにはPTH作用の正常化が必要である.しかしPTH製剤を慢性的な補充療法として用いることは不可能なので,これに代わるものとして活性型ビタミンDによる治療が行われている.図1から明らかなように,1,25(OH)2D作用を正常化すれば,副甲状腺機能低下症の代謝異常のかなりの部分が是正される結果になる.活性型ビタミンD剤として現在用いられているのは,1,25(OH)2D3のアナログである1α水酸化ビタミンD3(1αOHD3)である.1αOHD3は体内で25位に水酸化をうけ,1,25(OH)2D3となって作用する.以下に実際の治療方法を,古川らがまとめた治療基準(厚生省特定疾患ホルモン受容機構異常調査研究班副甲状腺分科会による)にそって概説する.
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