今月の主題 水電解質と酸塩基平衡
臨床の話題
Mineralcorticoid欠乏症候群
飯野 靖彦
1
1東京医科歯科大学・腎センター
pp.874-875
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220371
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病態生理
Mineralcorticoid(aldosteroneなど)は主として腎尿細管(他に唾液腺,汗腺,腸管)に作用して,Na再吸収,H分泌,K分泌を促進する1).したがって,原因の如何にかかわらずmineralcorticoid作用が欠除している病態は,類似した病状を呈し,mineralcorticoid欠乏症候群として一括することができる.欠乏が生ずると,まずNaの腎からの喪失が生じ細胞外液量が減少する(図1).これは皮質部集合尿細管へのaldosterone作用の欠除によりNa再吸収がこの部位で低下するためである.症状としては低血圧,低Na血症を生ずる.さらに,aldosteroneは髄質部集合尿細管外層(outermedullary collecting duct)においてH+分泌を刺激する作用があり2),欠乏状態では高Cl性代謝性アシドーシスを呈する.また,K分泌も減少し,K貯留により,高K血症となる.従って糸球体濾過量が高度に障害されていない状態(15ml/min以上)で,高K血症,代謝性アシドーシス,Na喪失を認めた場合には,mineralcorticoid欠乏症候群を疑う必要がある.
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