今月の主題 水電解質と酸塩基平衡
水電解質の調節系概説
Ca代謝調節系
稲葉 雅章
1
,
森井 浩世
1
1大阪市立大学医学部・第2内科
pp.760-762
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220333
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正常日本人成人では1日約10mg/kg体重のカルシウム(Ca)が経口にて摂取され,50%が体内に一旦吸収されるが,消化液中に再び分泌され最終的に経口摂取量の20%が吸収され,残り80%が便中に排泄される.腎では,糸球体において1日2g/kg体重ものCaが濾過されるが,尿細管においてその99.9%が再吸収され,最終的に体内に吸収されたと同量の2mg/kg体重/日のCaが尿中に排泄される.また,体内において細胞外液分画と主に骨との間でそれぞれ1日約2mg/kg体重のCaが平衡状態を保ちながらとりこみと放出を示す1)(図1).
血清Caの正常値は約10mg/dlであるが,血中Caの生理作用はその約45%を占めるCaイオン(Ca++)に依存している.残り45%が血清蛋白と,10%がリン酸,クエン酸等の陰イオンと結合している2).最近,Ca電極により血清Ca++濃度が測定可能となったが,日常診療では血清総Ca濃度が測定されている.前述したように蛋白結合Caの存在のため,血清蛋白の濃度,組成に異常のある場合,蛋白濃度を以下の式3)により補正して考える必要がある.
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