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Aldose reductase阻害剤
堀田 饒
1
,
寺島 宏
2
,
坂本 信夫
1
1名古屋大学医学部・第3内科
2小野薬品工業中央研究所
pp.682-694
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220319
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最近10年における糖尿病学の進歩の中で,世界的に注目されている領域に,"糖尿病性合併症の成因としてpolyol代謝の関与"がある1〜6).Polyol代謝の存在がはじめて知られたのは1900年のことである7)が,この代謝経路の重要性が明らかとなったのは1956年,Hersによる8)精子のエネルギー源であるfructoseの産生経路としてであった.一方,糖尿病性合併症とpolyol代謝との関連を取り扱った最初の報告は,1959年van Heyningenによる9)白内障の発症メカニズムに関するものであったが,あまり重視されることはなかった.この代謝経路の病因的重要性が世間に認識されるのに,いかに期間を要したかは"polyol"という語句が医学関係の辞典に載ったのが,1976年ということ2)からも推し測られる.
今日,動物実験的に,臨床的にも発症成因の一つとしてpolyol代謝が重視されている糖尿病性合併症には,白内障,神経障害をはじめとして,角膜症,網膜症がある.腎症も注目されているが,動脈硬化症の発症・進展にも少なからず関与していると考えられている5).これら糖尿病性合併症と関連する組織以外にも,表1に示す組織でpolyol代謝の存在が知られているもの1, 10〜12)の,その生理的意義は未だ明らかでない.
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