トピックス
アルドースリダクターゼ阻害剤
吉川 隆一
1
1滋賀医大第三内科
pp.359
発行日 1986年4月1日
Published Date 1986/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203637
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ソルビトール経路
1960年Hersにより見いだされたフルクトース(果糖)産生経路の一つである1).図に示したように2段階の酵素反応から成り,精嚢腺,胎盤,神経,腎臓,赤血球など体内諸臓器に広範囲に存在しているが,その生理的意義についてはいまだ不明である.
本経路の律速酵素と考えられるアルドースリダクターゼ(AR)は,グルコースに対し高いKm値を有し,正常グルコース濃度の状態ではソルビトールの産生量は微量にすぎない.しかし,糖尿病のように体液中のグルコース量が過剰な状態では,グルコース濃度に比例してソルビトールの産生量が増加する.しかも糖尿病では解糖系でのグルコース処理能が低下しているので,ソルビトール経路へ流入するグルコース量はより増加することになる.ただ,このような現象はグルコースの細胞内取り込みがインスリン非依存性の組織のみで生じると考えられる2).
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