今月の主題 消化器薬の使い方
膵疾患
膵炎の治療薬の使い方
竹内 正
1
1東京女子医科大学・消化器内科
pp.622-623
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220310
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膵炎は膵の炎症性変化を伴う疾患であり,その概念には,臨床症状,膵機能障害および病理組織学的変化の3つが含まれ,急性膵炎と慢性膵炎に大きく分けられる.臨床上,膵組織を詳細に検索しうる機会はかなり限定されるので,病理組織学的な根拠が必ずしも十分でない場合も,臨床症状,検査所見(機能的,形態的)から,臨床的には膵炎と診断されることがある.
急性膵炎の治療にあたっては,膵外分泌腺の安静,輸液,鎮痛が原則となる.そのためには,絶飲・絶食,経鼻的胃液吸引,輸液,シメチジンなどのヒスタミンH2受容体阻害薬の投与,鎮痛・鎮痙薬の投与などが行われ,それに加えて抗生物質,蛋白分解酵素阻害薬の投与が行われる.以上の治療法の有用性について,あるものはいくつか議論のあるところであるが,内科的治療を中心とした集学的な治療が重要であることは確かで,これにより重症化を抑え,重症膵炎の死亡率を低下させる可能性がある.最終的には,急性膵炎の治療は原因を除去することにより達成させられる.
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