今月の主題 アルコール障害
治療上の問題点
糖尿病とアルコール飲料
松岡 健平
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.466-467
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220272
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インスリン非依存型糖尿病患者にとって,アルコール飲料に接する宴席に出た翌朝の空腹時血糖値は糖質摂取を制限さえしていればしばしば低く出てくるものである.エタノールが糖新生を直接抑制するからである.とくに肝疾患を合併して,肝グリコゲン量が減少している症例,経口血糖降下剤やインスリンの投与を受けている症例には重大な影響を与える.肝に対する悪影響,肝障害によりもたらされるインスリン感受性の低下1),中性脂肪の上昇2),さらに酒の肴として摂取する余剰なエネルギーのことを考えると,糖尿病例に決してすすめられる飲料ではない.エタノールはケトアシドーシス,乳酸アシドーシス,急性アルコール中毒などの危険因子となっていることから,本項ではとくに糖尿病例に対するアルコール摂取の指導を中心に述べてみたい.
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