今月の主題 アルコール障害
臓器障害の成り立ち—なぜ起こるのか
膵炎・膵石症
建部 高明
1
,
宮川 宏之
1
1旭川医科大学・第2内科
pp.424-425
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220257
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アルコール膵炎の概念の変遷
飲酒と急性膵炎(膵の自己消化)との間には密接な因果関係の存在することは以前から推測されている.すなわち,Weinerら(1938)は38例の急性出血性膵炎で死亡した剖検例のうち,66%は大量の飲酒後に発症したと報告し,またClark(1942)は大量の飲酒後に死亡した大酒家の36例のうち,42%の死因は急性出血性膵炎であったと報告している.
一方,Ammannら(1973)によると,81例の慢性膵炎のうち23例は発症時に急性膵炎と診断されたが,その後の追跡によって慢性膵炎と確診され,この23例のうち21例は大酒家である.またWhite(1966)の集計によると,大酒家の頻度は慢性膵炎で75%と高率であるが,急性膵炎では6%と低率である.
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