新薬情報
ヘルペン坐剤125・250—〔住友製薬〕 一般名:アンピシリンナトリウム坐剤—合成ペニシリン製剤
水島 裕
1
1聖マリアンナ医科大学・第1内科
pp.2722-2723
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220157
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概略
ヘルペン坐剤(Herpen Supp.)は,アンピシリン(ABPC)の坐剤であり,住友製薬および京都薬品工業の共同開発により,ABPCの直腸吸収を可能にした小児用の坐剤である.国内における抗生物質の坐剤としてはエリスロマイシンの坐剤があるが,小児科領域ではさらに吸収が良好で,異なる抗菌スペクトルをもつ抗生物質坐剤の開発が強く望まれてきた.その理由として,経口剤の場合は拒薬,胃腸障害が,注射剤の場合は血管確保,疼痛などの問題があり,坐剤にすることにより,これらの問題を解決できるからである.
ヘルペン坐剤には吸収促進剤として直鎖の飽和脂肪酸〔カプリン酸ナトリウム(CA-NA)〕が添加されているが,この新しい吸収促進剤であるCA-Naの開発により,従来困難とされていたABPC坐剤が誕生したのである.CA-Naの吸収促進の作用機序は,直腸粘膜の細胞間隙を一時的に広くし,ABPCを吸収させると考えられている.
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