今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望
治療—その効果と限界
ステロイド離脱療法
熊田 博光
1
,
池田 健次
1
,
村島 直哉
1
,
吉場 朗
1
1虎の門病院・消化器科
pp.1044-1046
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219799
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e抗原陽性の慢性活動性肝炎は,頻回にトランスアミナーゼの上昇を繰り返しながら長い年月を経過し,1部は肝硬変さらには肝癌に進展することが明らかになっている.こうしたe抗原陽性の慢性活動性肝炎はe抗原を消失させ,さらにe抗体へのseroconversionを起こすことにより,血清トランスアミナーゼをはじめ肝機能の改善が得られる.また組織学的には慢性肝炎の活動性はなくなる.
筆者らは,ステロイド剤を比較的短期間大量に使用し,中止後に起こる血清トランスアミナーゼの再上昇(rebound現象)を利用し,その後にe抗原からe抗体へのseroconversionが起こる現象を見つけ出しこのrebound現象を治療に応用した.最近ではe抗原陽性の慢性活動性肝炎の症例にステロイド離脱療法を行い,e抗原の消失率は約50〜70%であったと報告されている.ここでは,この治療法の実際とその適応,さらには禁忌症例について具体的に述べる.
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