今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望
臨床のみかた
B型肝炎の疫学・臨床像
鈴木 宏
1
1山梨医科大学・第1内科
pp.988-991
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219780
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B型肝炎にはA型肝炎と同様に初感染から発症するものと,B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアから発症するものとがあり,その予後は非常に異なっている.わが国では成人のHBV初感染によりB型急性肝炎を発症した例からHBVキャリアに移行する例は非常に稀である.したがって,B型急性肝炎では初感染からの発症かHBVキャリアからの発症かを鑑別することは非常に重要である.一方,B型肝炎に起因する慢性肝炎,肝硬変および肝細胞癌はすべてがHBVキャリアであり,肝炎の慢性化,肝硬変への進展および肝細胞癌の併発にはHBVの持続感染が必要条件であることが明らかにされている.
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