当直医のための救急手技・耳鼻咽喉科系・3
のどの痛み—保存的治療でよいか
岡本 誠
1
Makoto Okamoto
1
1旭中央病院・耳鼻咽喉科
pp.2760-2762
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219554
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"のどが痛い"と訴えて来院する患者は非常に多い.上気道の炎症性疾患に伴うことが多いため,耳鼻科,内科,小児科および当直医の診療を受ける機会が多い.多くの場合,保存的治療のみで治癒するが,速やかに外科的処置をしないと,重篤な合併症をきたしたり,短時間のうちに突然呼吸困難が出現し,窒息死に至る危険を盈んだ疾患も含まれている.咽頭や喉頭の強い炎症に伴い,喉頭に浮腫をきたすことがあるからで,扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎はその代表的なものである.疼痛が激しく,急激な経過をとるため救急診療を受ける機会も少なくない.因みに昭和58年度に当科に入院したのべ385名の患者中,扁桃周囲膿瘍29例(7.5%),そのうち喉頭口に浮腫を伴ったもの7例(24%),急性喉頭蓋炎12例(3.1%)であった.全例受診後ただちに入院している.また,合計41例中26例(61%)は当科受診前すでに,他医により保存的治療を受けていた.これらの疾患は患者の苦痛は著しく,危険度も高いが,早期に適切な処置をとれば,苦痛は劇的に改善し,危険も回避できる.
気道の入口を扼するのどの痛みが,単に激しいだけなのか,さらに重篤な合併症を生ずる恐れがあるのかを判断し,危険を予知することは,初診医の重大な役割であろう.
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