臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
90.血糖
水野 美淳
1
,
大井 一輝
1
Yoshiatsu Mizuno
1
,
Kazuteru Ohi
1
1東京女子医科大学・糖尿病センター
pp.2308-2310
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219411
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異常値を示す疾患
高血糖を示す場合1) 現在,糖尿病にはインスリン依存型糖尿病(IDDM)とインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)があり,それぞれの中にも種々の病因によるものが含まれると考えられているが,これらの本態性糖尿病のほかに,高血糖を示す疾患または状況は表1のようにきわめて多い.それらとはできるだけ鑑別し,また糖尿病があるにしても,随伴するそれ以外の病態による血糖上昇因子を知ることが,糖尿病治療上も重要である.何らかの精神的または肉体的ストレスは糖代謝に影響しうると考えるほうがよい.
一般に,糖尿病がなくて高血糖をきたす場合は,その程度は軽く,糖負荷試験でも境界型のことが多く,糖尿病型となることは少ない.糖尿病と紛らわしい高血糖のうち,日常最も問題になりやすいのは肥満,高脂血症,肝疾患,膵疾患などであり,甲状腺機能亢進症,胃切除後などでは糖負荷後30分〜1時間値がかなり高くても,2〜3時間値は速やかに下降して急峻型高血糖(oxyhyperglycemia)となり,既往歴,症状からも糖尿病と区別しやすいことが多い.
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