特集 高齢患者の眼科手術
併存疾患の評価とリスク判定
糖尿病
大井 一輝
1
Kazuteru Ohi
1
1東邦大学医学部附属大橋病院糖尿病科
pp.24-27
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410904012
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糖尿病は,網膜症,視神経症,角膜症,白内障,緑内障などの病変の原因疾患として重要な位置を占めている。なかでも糖尿病性網膜症に基づく硝子体病変や網膜剥離は,糖尿病の経過の長い,しかも血糖コントロールの悪い例に好発し重症化する。今日ではこれらに対して積極的な手術が行われているが,手術の適応と診断されてから即手術が可能な例ばかりではなく,高齢者であったり,血糖高値など種々の条件の悪い状態の者も多い。また外科領域の手術に比べて侵襲の程度は小さいとはいえ,糖尿病患者のもつ特殊な病態はときに変動し,手術前後に内科的治療が最優先されるような事態になることがある。したがって糖尿病患者の手術には一般的管理に加えて血糖コントロール,場合によっては合併症についての慎重な対応が必要である。本稿では糖尿病の病態を概説し,眼科医として術前の諸条件をどのように考えておくべきかを示す。
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