臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅶ.免疫血清検査
64.ASO,ADN-B,ASK
安倍 達
1
Tohru Abe
1
1慶応義塾大学医学部・内科
pp.2244-2245
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219385
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ASO,ADN-B,ASK値測定の意義
ストレプトリジンO(SO),デスオキシリボヌクレアーゼ,およびストレプトキナーゼ(SK)は溶連菌の抗原物質で,その感染をうけると抗体が産生される.したがって,それらに対する抗原であるASO,ADN-B,ASKを測定することによって,溶連菌感染を間接的に証明することができる.溶連菌の抗原物質は,①ストレプトリジンO,②ストレプトリジンS,③ストレプトキナーゼ,④ヒアルロニダーゼ,⑤ディフォスフォリジンヌクレオチダーゼ,⑥デスオキシリボヌクレアーゼ,⑦プロテアーゼ,⑧アミラーゼ,⑨エラスターゼなどがある.菌体表在物質としては,①ヒアルロン酸,②M蛋白,③多糖類,④ペプチドグリカンなどがある.
溶連菌に感染し,抗原物質が出ると,平均9日目頃から抗体産生が始まり,通常14日目で最高となる.しかしM蛋白など菌体表在性成分に対する抗体産生は感染後徐々に始まり,長期間ときに年単位にわたって高い抗体価を維持する.溶連菌感染の検査に最もよく用いられるものはASO値であり,ASO値は大部分がA群溶連菌により放出される.しかしC群,G群溶連菌にもSO産生株があり,厳密にはA群溶連菌感染のみを検査しているわけでないが,C群,G群溶連菌感染は臨床的に問題となることは少ない.
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