今月の主題 脳血管障害のトピックス
非定型的脳血管障害
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
亀山 正邦
1
Masakuni Kameyama
1
1京都大学医学部・神経内科
pp.1958-1959
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219300
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巨細胞性動脈炎とは
巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis, GCA)は,一般には側頭動脈炎,または頭蓋動脈炎と同じものとして取り扱われている.しかし,これらの命名のおのおのにいくつかの問題がある.たとえば,側頭動脈炎のすべての例で生検(あるいは剖検)動脈に巨細胞が証明されるとは限らない.側頭動脈炎では同時に頭蓋部の他の動脈にも炎症をみることが多く,側頭動脈炎よりは頭蓋動脈炎のほうがよりよく事実に適合するようにもみえる.しかし,頭蓋動脈炎と呼ぶにしても,他の中等大の全身の動脈系—たとえば,冠,肝,腎,四肢などの動脈にも同時に炎症をみることがあり,頭蓋のみに限ったものではない.
またGCAでは,組織所見から動脈炎巣内に巨細胞をみることを特徴としているが,高安病や結節性動脈炎でも巨細胞をみることがある.まれには脳の巨細胞性肉芽腫性血管炎1)がみられるが,これはGCAとはまったく別個の疾患と考えられている.
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