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巨細胞性動脈炎giant cell arteritis(GCA)は,1890年のHutchinsonによる,発赤腫脹があり,拍動が消失した有痛性両側浅側頭動脈炎を呈する80代男性の症例報告1)に端を発し,1932年にHortonにより,側頭動脈にのみ炎症をきたす疾患として,“arteritis of the temporal vessels”(側頭動脈炎*1)と初めて記述され,注目を集めるようになった。その後,1960年のPaulleyら2)や,1972年のHarminが“polymyalgia arteritica”と称したように3),GCAはリウマチ性多発筋痛症(PMR*2)症状を呈する全身性疾患と認識されていたが,一般的には頭痛を主とするcranial symptomsを示す疾患と考えられていた。
1990年ACR*3による分類基準(表1)では,頭痛や側頭動脈炎症状などのcranial symptomsがフォーカスされており,GCA=側頭動脈炎と誤解されることがあった4,5)。しかし,CT,MRI,PETなどの血管画像検査の普及により,GCAは側頭動脈だけでなく,大動脈や大動脈分岐血管などの大血管に炎症を起こす疾患であることが,より認識されるようになった。そのほか,難治性PMR症例における画像検査では,大血管炎を示す症例がしばしばあり,GCAには,cranial GCA,LV(large vessel)-GCA(大血管炎)といった亜型があること,さらにはcranial GCAとLV-GCAが合併することがわかっている6)。
本稿では,cranial GCAとLV-GCAの類似点・相違点や,見逃してはならないGCAのまれな症状・所見について紹介するとともに,2018年EULAR*4のガイドラインで推奨されているGCAにおける血管エコーと,今でも診断のゴールドスタンダードである側頭動脈生検について解説する。
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