今月の主題 脳血管障害のトピックス
非定型的脳血管障害
Neoplastic angioendotheliosis
萬年 徹
1
Toru Mannen
1
1東京大学医学部・神経内科
pp.1954-1956
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219299
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Neoplastic angioendotheliosisとは
Neoplastic angioendotheliosisとは,小血管の管腔が異常細胞によって満たされて栓塞を起こし,主として皮膚,中枢神経系に症状を現わす疾患である.1959年,Wienの皮膚科医PflegerとTappeiner1)は,発熱と体重減少を伴い,brown-redからlivid-redの色調を呈する大小さまざまな皮疹のあった31歳の女性の症例の臨床経過と特異な皮膚生検所見を発表した.
これによると,coriumとsubcutisに拡張した毛細血管がコイル状の形態をとって増殖し,しかもその管腔は多数の異常な大形単核細胞によって満たされていた.彼らはこの異常細胞の組織学的特徴を検討した結果,これらは小血管の内皮細胞に由来したものであり,内皮細胞が悪性化して増殖したものであろうと考え,systemisierten Endotheliomatose(Reticuloendotheliose?)と呼んだ.この報告以後皮膚科領域から臨床症状,皮膚生検像が一致する症例が次々と報告され成書2)にも記載されるようになったとはいえ,その数はいまだ少なく,皮膚科領域でも稀な疾患のようである.
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