特集 身体診察
各論編
10.リンパ節の診察—鎖骨上リンパ節や脾臓は患者に代わって危険信号を出している
平島 修
1
Osamu HIRASHIMA
1
1徳洲会奄美ブロック 総合診療研修センター
pp.123-130
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901004
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リンパ節はリンパ管の途中にある被膜に覆われた小さな構造物(<1cm)で,全身に600個ほど存在する1)。毛細血管床から出た病原体や,リンパ系細胞,壊れた細胞の断片がリンパ管内に排出され,リンパ節でリンパ球やマクロファージが免疫反応を起こす。リンパ節はフィルターの役割を果たし,リンパ管に入ったがん細胞はリンパ節にとどまり,腫脹する。すべてのリンパ管は内頸静脈と鎖骨下静脈が合流する腕頭静脈で静脈系に流入する(図1)。
リンパ節は,深部の動静脈に沿って分布する深部リンパ節と,体表に近い動静脈に沿って分布する表在リンパ節に分けられる。診察可能な深部リンパ節は,深頸リンパ節と腋窩リンパ節の2つのみである。表在リンパ節の腫脹は皮膚病変に対する免疫応答の可能性が高い一方,(診察できない)深部リンパ節の腫脹は内臓に対する免疫応答の可能性が高く,必要に応じて補助的に画像診断を考慮する。
本稿では身体診察で触知可能なリンパ節を中心に,鑑別診断・身体診察の型を述べる。
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