当直医のための救急手技・眼科系・2
前眼部疾患の検査,処置
土坂 寿行
1
,
清水 千尋
1
Hisayuki Tsuchizaka
1
,
Chihiro Shimizu
1
1旭中央病院眼科
pp.1522-1523
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219196
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眼科領域の救急診療を行うに当たって,検査,処置の方法は当直医のおかれた環境により,さまざまである.眼科を有する病院では夜間でも必要な検査器械が備わっているが,極端な場合,ペンライト一つで診療に当たらねばならないこともあり得る.本稿では両者の場合を想定して,前眼部疾患の救急診療について記す.
前眼部疾患の診療に当たっては細隙燈顕微鏡の他,視力測定器機,開瞼器,ブジー,涙洗針,点眼麻酔剤,フルオレス試験紙などが備わっていることが望ましい.細隙燈顕微鏡はスリット状の光を斜方向から前眼部にあて,これを顕微鏡で拡大して観察するものである.その検査範囲は図1に示す如く,眼瞼,結膜,角膜,前房,水晶体,および前部硝子体である.ペンライトで診療にあたる場台は詳細な所見はとれないが,検査の可能な範囲は細隙燈顕微鏡と同様である.では上述の組織別に,前号で記した当院の1年間の救急受診患者414名のうち,主に頻度の高い疾患について述べる.なお検査,処置にあたっては疼痛のため開瞼が困難なことが多く,この時は点眼麻酔を使用すると容易に行える.
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