今月の主題 循環器薬の使い方
慢性期虚血性心疾患
抗高脂血症剤の使い方
大内 尉義
1
,
板倉 弘重
1
,
矢崎 義雄
1
,
高久 史麿
1
Yasuyoshi Ouchi
1
,
Hiroshige Itakura
1
,
Yoshio Yazaki
1
,
Fumimaro Takaku
1
1東京大学医学部・第3内科
pp.1209-1212
発行日 1984年7月10日
Published Date 1984/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219124
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高脂血症と冠動脈硬化との関連
高脂血症は,虚血性心疾患(IHD)の主たる原因である冠動脈アテローム硬化の第1のrisk factorである.図に,冠動脈造影により冠動脈硬化の有無を確認した症例で,各リポ蛋白分画中の脂質を測定した当教室での成績1)を示す.冠動脈硬化を有する症例で,低比重リポ蛋白分画中のコレステロール(LDL-C)の増加,高比重リポ蛋白分画中のコレステロール(HDL-C),とくにその亜分画でHDL2-Cの低下が認められ,LDL-Cの増加とHDL2-Cの低下が冠動脈硬化と深い関連を有することがわかる.現在の高脂血症の治療は,LDL-Cを低下させ,HDL-C,とくにHDL2-Cを上昇させることが目標とされている.
トリグリセリド(TG)には各リポ蛋白分画とも有意差は認められなかった.TGの増加が独立した冠動脈硬化のrisk factorであるか否かについて一定の結論は得られていないが,現在では否定的な見解が多い.しかし,一方でrisk factorとする意見も根強く,TGの低下をはかることも高脂血症治療の目標の1つとされる.
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