今月の主題 血清リポ蛋白の異常
血清リポ蛋白代謝異常の治療
抗高脂血症剤と虚血性心疾患の長期予防
都島 基夫
1
Motoo Tsushima
1
1国立循環器病センター・循環器内科
pp.874-875
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217764
- 有料閲覧
- 文献概要
高リポ蛋白血症,なかでも高LDL血症や低HDL血症は,動脈硬化の進展因子であり,虚血性心疾患の重要なrisk factorになっていることは,これまでのFramingham Studyをはじめとする疫学,臨床的・病理学的研究や動物実験,細胞培養などの成績から明らかにされてきた.また,高コレステロール血症と血小板凝集能の亢進,リパーゼ活性とアンチトロンビンIIIとの関連性,アラキドン酸を中心とした脂肪酸とプロスタグランディン代謝など,凝固機能に関しても検討が加えられ,脂質代謝異常が,動脈硬化の進展のみならず血栓症の発症に関与していることがわかってきた.
動脈硬化のrisk factorとしてあげられている高コレステロール血症や諸種の脂質代謝異常を,食事の内容を変えたり抗高脂血症剤投与により是正することで,冠動脈疾患の1次予防(初発発症予防)や2次予防(再発予防)を目的としたprospective studyも1950年代より行われており,動脈硬化性疾患の予防に高リポ蛋白血症の治療が有用であることを示した報告が多い.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.