今月の主題 糖尿病診療の実際
境界領域
糖尿病と感染症
北原 光夫
1,2
Mitsuo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶應義塾大学医学部・内科
pp.1038-1039
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219082
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インスリンが発見され,一般に使用されるようになる以前は,感染症は糖尿病の合併症として高い頻度をもち,死因の大きな部分を占めていた.しかし,近年入院を必要としない糖尿病患者でよくコントロールされていると,感染症の頻度は非糖尿病患者と同様であるといわれている.
糖尿病患者の生体防御機能のうちで,異常であるのは好中球の機能だといわれる.抗体産生能(Bリンパ球機能),細胞免疫能(Tリンパ球機能)は正常である.好中球機能は遊走能と貪食能が低下しており,機能検査においてインスリンをin vitroで使用すると改善することが証明されている.よくコントロールされている患者から得た好中球は正常の機能を有することが明らかにされている.このように,感染症頻度の低下は糖尿病自体のコントロールによる点が多い.
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