臨床メモ
カンジダ感染症
北原 光夫
1,2
Mitsuo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院内科
2慶応義塾大学医学部内科
pp.1519
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219194
- 有料閲覧
- 文献概要
Candida感染症は他の真菌症と同様に,日和見感染症の1つと考えられる.また,抗生物質を使用した後に,数多くみられる菌交代症の1つでもある.Candida感染の起こる要因には,抗菌スペクトルの広い抗生物質の長期かつ多量の使用,異物の存在(尿路カテーテル,人工心臓弁,脳室シャント,血管カニューレ),腹部臓器手術,白血球減少あるいは機能異常,患者の基礎疾患(悪性腫瘍,糖尿病)があげられる.
Candida感染症は,①皮膚粘膜カンジダ症,②深部臓器カンジダ症,③播種性カンジダ症の3つに分けられる.皮膚粘膜カンジダ症には鵞口瘡,カンジダ爪炎,カンジダ腟炎などがあげられる.口腔内あるいは食道のカンジダ症は,ことに白血病患者に多くみられ,これらの例では抗腫瘍剤を使用し,好中球減少があり,粘膜の再生を阻害している状況が存在する.先天的免疫不全の患者(DiGeorge症候群),副甲状腺機能低下症のある例にカンジダ症が合併すると報告されている.また,Candidaに対してのみTlymphocyteの機能異常があり,他の免疫機能は正常である例が稀に報告されている.この症例では,ほんの軽度な皮膚粘膜感染症から,重症なcandida granulomaを形成する例もある.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.