今月の主題 糖尿病診療の実際
境界領域
糖尿病妊婦の管理
穴沢 園子
1
Sonoko Anazawa
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.1036-1037
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219081
- 有料閲覧
- 文献概要
糖尿病患者が妊娠すると糖尿病の治療が適切に行われていない場合,母体には①血糖調整の悪化,②流産,早産,死産,③妊娠中毒症,羊水過多症,④糖尿病性細小血管症の増悪,などが起こり易く,児では①巨大児,②妊娠晩期子宮内胎児死亡,③先天奇形,④新生児低血糖,⑤呼吸窮迫症候群,等の頻度が高いことが知られている.近年,血糖の厳密なコントロールと胎児胎盤機能の評価,新生児ケアの進歩により糖尿病妊婦の児の周産期死亡率は低下してきたが,奇形の発生機序の解明と予防やすでに進展した血管合併症を有する母体の対策,など残された問題は大きい.本稿では糖尿病女性が長期予後を損うことなく健康な子どもを出産するためにどのように管理してゆくかについて述べる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.