今月の主題 胃・十二指腸潰瘍—その基礎と臨床のすべて
病因と病態生理
潰瘍と脳
松尾 裕
1
Yutaka Matsuo
1
1日本大学医学部・第3内科
pp.2710-2711
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218805
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潰瘍は脳のやまいである
消化性潰瘍の成因は簡単に1つの因子によって決められるものではないが,病理学者ロキタンスキーは,脳病変のあった患者の剖検所見に胃の出血ないし潰瘍が多いということを最初に記録し,"胃潰瘍は脳のやまいである"と述べている.
その後1931年,脳外科の大家であるクッシングは脳腫瘍の手術例について,その手術は非常にうまくいったのに吐血および下血で亡くなった患者について報告し,その場合に,視床下部の迷走神経中枢の刺激が潰瘍の発生に非常に重要であると述べ,これがいわゆる"クッシングの潰瘍"と呼ばれたのである(図1)
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