臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VII.腎疾患
問題となるケースの治療
154.ステロイド無効なネフローゼ症候群の治療
榛沢 進
1
,
大野 丞二
1
Susumu Hanzawa
1
,
Joji Ohno
1
1順天堂大学医学部内科(腎臓)
pp.2428-2429
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218695
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症例
44歳,女性.下腿浮腫と高血圧(200/120mmHg)を主訴に来院.尿蛋白690mg/dl(14.3g/日),尿沈渣にてごく軽度の赤血球および顆粒円柱を認める.T-p 4.9g/dl,alb. 2.1g/dl,T-chol 330mg/dl.腎機能正常範囲内.腎生検組織型は増殖性糸球体腎炎を呈した.一次性ネフローゼ症候群(ネ症)の診断のもとに降圧剤(α-methyldopa 250mg)とprednisolone 60mgを投与した.以降prednisolone漸減療法を行い,途中より免疫抑制剤のcyclophosphamideを併用するも蛋白尿は減少せず,以下の薬物療法を施行した.
図のごとく7月4日より抗血小板薬であるdipyridamole(Persantin®,Anginal®)300mg投与したところ,蛋白尿は7〜8g/日と半減した.しかし約1ヵ月後には再び蛋白尿増加を示したため,9月25日より非ステロイド性消炎薬のmefenamic acid(Pontal®)を750mgより投与した.mefenamic acid投与後より蛋白尿は減少し,投与2ヵ月以降は2〜3g/日と著明な減少を示し,その後も安定した経過をたどっている.
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